巡回指導・監査の総合サポート

トラック運送監査

「監査・巡回指導」と聞くとあまり心地よくない感じがするという運送事業者様も多いのではないでしょうか。

運送業は法令を遵守しながら運営することが難しい業種です。

とは言え法令違反を犯して良いわけではありません。トラック運送監査も巡回指導もご想像以上に厳しく法令を守っているかチェックされます。

これは実際にお客様の監査や巡回指導に立会って肌で感じております。日車や営業停止を受けないよう日頃からしっかりと運行管理や勤怠管理・安全管理を行わないといけません。なぜなら処分基準は甘くはないからです。

トラック運送監査対策は運送事業者様にとって急務です。

トラック運送監査とは?

運輸局によるトラック運送監査は「自動車運送事業等監査規則」と「自動車運送事業の監査方針について」という国土交通省の公示に基づいて行われています。

自動車運送事業等監査規則の第2条で監査の目的は

「自動車運送に係る事故防止の徹底を期するとともに、運輸の適正を図ることを目的とする」

とされており、事故防止のための施策であることがわかります。では、監査の種類について以下でご説明いたします。

特別監査

通称「トッカン」と言われ一番厳しい監査にあたります。簡単に言うと、死亡事故など運輸局への速報の対象となる事故を起こした場合と、行政処分を受けた後の改善命令に従わないときに実施されます。

・事業用自動車の運転者が、第一当事者として推定される死亡事故及び酒酔い運転者等の悪質違反を伴う事故など社会的影響の大きい事故を引き起こし、または、悪質違反を犯した運送事業者等に対し実施。

・また、監査の実施結果により、行政処分を受け、事業の改善についての出頭及び改善の状況の報告を命じた事業者であって、出頭を拒否した者、改善報告を行わない者、または報告内容が履行されず事業の改善が認められないものについても実施。

巡回監査(通報や内部告発により実施される抜き打ち監査)

事故、苦情または都道府県公安委員会からの通報等により、法令違反の多いと疑いがある運送事業者等に対し、原則として重点事項を定めて行なわれます。

昨今は、第3者からの通報や内部告発が増えているため、巡回監査が実施される事業者も増えています。

内部告発に関しては、スマホやインターネットが普及したことにより、トラック運転手も法令遵守事項のことをよく理解している者が増えました。そのため、常態として法令違反がある運送会社は、運転者による内部告発を受けやすくなっています。

呼び出し監査

「特別監査」「巡回監査」以外において、都道府県公安委員会等からの通報等により違法性があり、監査を必用とする場合に事業者を呼出し、原則として重点事項を定めて行われます。

呼び出し指導

新規許可事業者に対する許可書交付時等の指導講習未受講事業者、その他特に呼出し指導を行うことが必要と認められる事業者に対して行われます。

トラック運送監査のポイント

運送業の監査では基本的に帳票類のチェックと運送事業者様への質問が行われます。従って帳票類を日頃からしっかりと記載することと、ドライバーへの安全指導教育が重要事項となります。

特に重要なのが、「運転日報」「点呼簿」「安全指導教育」です。

①.貴社はドライバーへの安全指導教育の年間計画を立てて実施していますか?

②.監査のために形骸的に作成した年間計画ではありませんか?

③.改善基準告示に基づく、連続運転時間や休息時間は守られていますか?

④.?出庫時、入庫時の点呼は必ず運行管理者または補助者によって対面で行われていますか?

運行経路上、荷下ろし先で2泊3日以上の宿泊する場合以外は、電話点呼は許されません。

運行管理者も早朝から夜中まで勤務するわけにはいかないからと巡回監査で監査担当官に言っても許してはもらえません。

最悪の場合、営業停止や運送業許可がはく奪されます。

巡回指導

監査が重大事故や通報等によって実施されるのに対して、適正化事業実施機関の行う巡回指導は、運送業を始めるようになった後のおよそ3カ月~6ヶ月後、その後は2年ごとに実施されます。

適正化事業実施機関はトラック協会の委託を受けている事業者が実施する(トラック協会の職員だった者が指導員となる)定期的な指導であるため、少々の法令違反があったとしても、即行政処分になるわけではありません(だからと言って、甘く見て良いということではないです)。

巡回指導は37項目の評価項目を対象に指導が行われ、評価はA~Eの5段階。DまたはE評価となった場合は行政処分や監査の対象となります。

しかし、点呼をまったく実施していない、運行管理者が未選任などの実態がなければD・E評価になることはありません。したがって巡回指導で行政処分になる確率は、よぼど悪質な運送事業者でない限りほぼ0%です。

対して、トラック監査、特に特別監査の場合は実施されれば行政処分になる確率はほぼ100%です。

巡回指導では、たとえ未実施事項が発見されても、是正したものの写しを1ヶ月後に適正化事業実施委員会に郵送で送れば行政処分にはなりません。トラック監査では、未実施事項が発見されれば行政処分になることは免れません。

行政処分の強化について

平成30年(2018年)に過労防止関連の業行政処分基準の改正にともない、巡回指導後の評価において悪質事業者とみなされた場合の措置が追加されました。

内容は以下のとおりです。

適正化事業実施機関による巡回指導において下記の事業者には重点的に監査が行われます。

1.総合評価が著しく悪い事業者

2.新規参入後の総合評価が継続して悪い事業者

3.健康診断受診や社会保険・労働保険加入の基本項目が継続して不適切である事業者

上記改正が実施された平成30年7月以降の巡回指導に弊社シフトアップは何度も立ち会っております。肌で感じることは、過労防止に関する健康診断受診や点呼時の睡眠不足に関する指導が今まで以上に見られるとうことです。

一度、悪質事業者としてリストに載ってしまうと常に適正化事業実施機関と運輸局から監視されるようになってしまいます。しっかり安全管理を行いましょう。

適正化事業巡回指導の要点

巡回指導が来る前は、親切に適正化事業実施機関から運送事業者さまのもとへ、巡回指導を行う日程を告げる電話が入ります。

その後、用意しておく帳票類などを書いた書類がFAXで届きます。

基本的にその書類に書いてある帳票を用意すれば問題ありません。ただし、しっかり日常業務が行われている事が前提です。

チェックは厳しくないと申し上げましたが、いい加減な管理をしていても良いということではありません。

特に以下の項目はしっかり記載・管理する必要があります。

・運転日報(乗務記録)

・点呼記録簿

運転日報について

運転日報で特にチェックされる箇所

1.運転時間は適切か(長時間休憩を取らずに運転していないか)

2.運転開始・終了時間と点呼時間に整合性が取れているか

3.休憩は連続運転時間4時間ごとに30分以上取っているか

4.運行と運行の間に8時間以上の休息時間はあるか

5.残業・深夜・休憩時間の管理はできているか

運転時間と休憩・休息時間は特に重点的に見られます。デジタコの場合はしっかり運転手がボタン操作をしている必要があります。4t車などデジタコを装着していない場合、運転時間、休憩時間、待機時間、深夜時間、残業時間をタコグラフや運転日報をもとに集計して管理しなければなりません。

また、ドライバーからの運転日報の提出漏れがあり、配車記録と合わないと指摘を受けます。タコグラフも同様に抜けがあれば指導の対象となります。

点呼簿について

自動車運送事業者には 対面点呼が義務づけられているため点呼簿は最も重要な帳票のひとつです。ですので、巡回指導時に指導員が重点的にチェックしていきます。

基本的に2泊3日以上の運行の場合以外は、運転者の出庫時・入庫時には対面点呼が必要となります(1泊2日までの運行の場合でやむを得ない場合は出庫または入庫のどちらかで対面点呼を行なえば良いとされています)。

一般的に運送業ではドライバーの勤務時間が一律でない場合が多いのは事実です。早朝に出庫するトラックもあれば、深夜に入庫するトラックもあります。

現実的に対面点呼が難しいといえど、怠れば指導の対象となります。運行管理補助者を上手に使い「対面点呼」を必ず実現させましょう。

11,まとめ

記載したとおり、非常に多くを管理する必要があるので、あわてることのないように準備する事がとても大切です。

当事務所は、巡回指導や監査にご不安をお持ちの方のために、巡回指導、監査対策サポートを行っております。

基本は継続的な顧問契約形態で対応しておりますが、ご要望に応じて一回のみの帳票類チェックなども対応しております。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合せ下さい!

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